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カコウエン　ミョウサイ
　　
　魏の将。初め後方支援などで活躍し、後に異民族、反乱者を度々撃破する。やがて漢中を任され、巴郡（劉備の領地）を攻略する。その後、定軍山（漢中西部）で劉備と対峙し、黄忠の部隊に討ち取られる。

・曹操の従兄弟。夏侯惇の従弟。三人共同郷。
・曹操が何かの罪に問われたとき、身代わりとなり罰を受ける。また、飢餓の中であえて自分の子を見捨て、若死にした弟の子を救う。

・曹操が旗揚げすると、別部司馬、騎都尉となる。（別部司馬は、本軍から独立して軍を統括。）
・陳留、潁川（えいせん）で、順に太守を務める。（前者は兗（えん）州の郡、後者は豫（よ）州の郡。就任時期は不詳。）

・曹操が官渡で袁紹と対峙し、夏侯淵も従軍する。
・曹操は勝利後、軍糧が不足する。夏侯淵は、各地の軍糧を統括し、そつなく輸送を行う。（夏侯淵はこの頃まで、内務や後方支援での活躍が多い。）

・徐州で昌豨（しょうき）が反乱し、于禁（うきん）が討伐に赴く。夏侯淵はその援軍となり、大いに戦功を挙げる。
・済南国（青州）に進軍し、黄巾の徐和を討伐。これを討ち取る。（時期不詳。）

・赤壁戦後、雷緒を討伐し、敗走させる。（雷緒は、廬江郡（揚州）の独立勢力。陳蘭共々、潜山を拠点にしていた。）
・太原郡（并（へい）州）に進軍し、反乱者の商曜を討伐。これを討ち取る。

・曹操が関中の馬超、韓遂を討伐し、夏侯淵も随行する。（関中とは、長安の西の一帯。）馬超らはやがて撤退。
・朱霊らを従え、扶風郡の氐（てい）族を破る。（扶風は関中にある郡。雍州に所属。）


・行（こう）護軍将軍となり、長安に駐屯する。（護軍将軍は、首都の軍の司令官。行は「代行、臨時」の意。）配下に朱霊、路招ら。
・劉雄鳴（関中の反乱者）を討伐し、これを破る。
・徐晃ら共々、梁興（馬超の仲間）を討伐し、これを討ち取る。

・馬超が冀（き）城を包囲する。（守将韋康。）夏侯淵は救援に赴くも、到着前に韋康は敗北。夏侯淵も馬超に敗れる。（敵は既に城を占拠し、態勢は盤石だった。）

・姜叙が祁（き）山で馬超を防ぎ、夏侯淵に援軍を求める。部下達は、「曹操様に指示を伺うべき」と主張。しかし、夏侯淵は「それでは間に合わない」と述べ、独断で救援を決定。張郃（ちょうこう）を先鋒に任じ、自身は後詰として軍糧を司る。結果、馬超は撤退する。（以上は、あまり知られていない活躍。夏侯淵の聡明さ・有能さがよく分かる。）

・宋建（西方の反乱者）の討伐に赴く。（敵の拠点は、雍州隴西郡。）一月の攻防の末、敗死させる。

・韓遂と羌（きょう）族が連合し、夏侯淵はその討伐に当たる。まず軍を分遣し、羌族たちの地元を荒らす。羌族たちは韓遂と別れ、それぞれ地元の仲間を救いに行く。（羌族は遊牧民族。仲間との結束を重んじる。）韓遂は事態の打開を考え、要塞を出て攻勢に転じる。夏侯淵はこれを迎撃し、大敗させる。（以上、まず戦略レベルで成功し、続いて戦術レベルで勝利。名将ぶりを如何なく発揮。）

・高平県（雍州安定郡）の匈奴を撃破し、一帯を平定する。また、武都郡（雍州）の氐族、羌族を討伐し、穀物を奪取する。後に、張郃らを従え、河西の羌族を降伏させる。（河西とは、黄河の西の一帯。涼州に属する。）
・曹操は羌族と会見する際、しばしば夏侯淵の名を出し、威圧したという。（どれだけ活躍がずば抜けていたか、よく分かる逸話。）


・行軍速度が速く、急襲を得意とする。あるとき、曹操は夏侯淵に言う。「将たる者、知略も用いなければならない。勇だけでは、大勢と対することはできない。」（迅速な判断に長ける一方、遠謀はやや欠けていた。）

・曹操が漢中（張魯の領地）に進軍し、夏侯淵も随行する。張魯はやがて降伏。
・張郃、徐晃らを従えて南下。巴郡を平定する。（巴郡は益州北部。劉備の領地。）
・帰還後、漢中の守将を任される。

・劉備が大軍をまとめ、陽平関（漢中西部）に向かう。夏侯淵は諸将を率い、これを防ぐ。翌年になっても、勝負は付かない。
・劉備が定軍山（陽平関の南）に向かい、魏軍の逆茂木（さかもぎ）を焼く。夏侯淵はこれを知ると、張郃に東の砦を守らせ、自身は劉備と対峙。張郃が攻撃されると、夏侯淵は軍の半数を援軍とし、周りは手薄になる。その後自ら逆茂木の修復に行き、黄忠（劉備の将）の部隊の襲撃を受け、討死する。（夏侯淵は、連戦連勝の武将だったが、守勢は不慣れだったのかも知れない。）

・曹操は後に、軍に布告する。「夏侯淵は、味方から白地将軍（単純な将軍）と呼ばれていた。司令官として、どう在るべきかを知らない。逆茂木の修復など、自ら行うべきではない。」（戒めのため、欠点のみあえて強調。）


・陳寿は曹氏一族の功臣をまとめて評する。「一族として重んじられ、主君を補佐して功労があった。」

夏侯惇　曹仁　曹洪　張郃

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