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史実の三国志の、包括的な解説書。
まず、時代背景が説明される。外戚と宦官の争い、清流派や名士の出現、豪族と官僚の関係などを記述。
その後、群雄割拠から、三国鼎立(ていりつ)の前夜まで、出来事を一通り取り上げる。時系列に沿って明快、的確にまとめてある。
続いて、三国の盛衰について、詳しく解説される。制度、人事、外交などに関し、不足なく要点を押さえ、国柄、風潮などのテーマも盛り込む。
また、東アジア全体を視野に入れ、多角的に時代を捉える。宗教、文化、邪馬台国にそれぞれ一章を設ける。
本書の特徴は、項目ごとのまとまった記述。事典的にも利用できる。
主な内容は、袁紹から曹操、そして曹操から曹丕へと至る、時代の流れ。また、建安文学(魏の独自の文化)と、儒教文化の相克関係。更に、魏の衰退から、晋の成立に至るまで(魏晋革命)。
また、呉・蜀の成立過程と、各々の国情の推移が記される。
本書は、当時の人々の行動原理を明らかにし、国の興亡の背後にあるものを暴き出す。即ち、儒教を信条とする名士らは、政治への理想と野心を持ち、その人脈で絶えず影響力を及ぼした。そして、彼等名士とどう関わるかが、当時の指導者たちの課題であった。
主義と権力を巡る、様々なせめぎ合いの末に、時代がどう変化していったのか。本書は、じっくり解説していく。目から鱗、という内容が多い。
なお、渡邊氏の本は色々出ているが、本書は取り分け分かりやすい。分量的にもちょうどいい。
本書はまず、第一章、第二章で、その全体像が概括される。
第三章から、時代の流れを詳述。まず、後漢の地方社会にスポットが当たる。キーとなるのは、民の生活の場である郷村。そこにはかつて、儒教に基づく共同体が存在したが、豪族の台頭で破綻した。彼等の一部は、宦官たちと結託し、国は大いに乱れたという。
そして、宦官に対抗したのが、清流派と呼ばれる活動家たち。しかし、清流派自身も、概して豪族の出身。彼等の中で、袁紹は豪族としての権勢にこだわり、大勢力を築き上げた。荀彧(じゅんいく)、陳羣(ちんぐん)らは、権勢よりも繋がりを武器とし、新興勢力の曹操を支援した。袁紹は結局、曹操に敗北。
しばらくのち、三国(魏、呉、蜀)が成立。魏では、清流派の流れを汲む人々が、貴族階層を形成したという。
一方、呉(江南)は後進地域。本書は孫呉政権に詳しく触れ、政治体制と情勢を解説する。
晋の時代、異民族が中原に侵入し、貴族たちは南方に移住。結果、中原の文化と、江南の空気が接触する。
中原人たちは高尚に議論し、一方では権益をしっかり握った。そして、江南豪族の葛藤。本書を読むと、時代が変化していく様が、スムーズに頭に入ってくる。
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金文京「三国志の世界 ~後漢三国時代~」
本書は、講談社の「中国の歴史」シリーズの一つ。後漢時代の後期から、三国統一までを記す。史実の三国志の、包括的な解説書。
まず、時代背景が説明される。外戚と宦官の争い、清流派や名士の出現、豪族と官僚の関係などを記述。
その後、群雄割拠から、三国鼎立(ていりつ)の前夜まで、出来事を一通り取り上げる。時系列に沿って明快、的確にまとめてある。
続いて、三国の盛衰について、詳しく解説される。制度、人事、外交などに関し、不足なく要点を押さえ、国柄、風潮などのテーマも盛り込む。
また、東アジア全体を視野に入れ、多角的に時代を捉える。宗教、文化、邪馬台国にそれぞれ一章を設ける。
本書の特徴は、項目ごとのまとまった記述。事典的にも利用できる。
渡邊義浩「『三国志』の政治と思想」
儒教と名士をキーワードに、変革の時代を読み解く。後漢後期から三国の統一まで、政治の動きに絞って解説する。
主な内容は、袁紹から曹操、そして曹操から曹丕へと至る、時代の流れ。また、建安文学(魏の独自の文化)と、儒教文化の相克関係。更に、魏の衰退から、晋の成立に至るまで(魏晋革命)。
また、呉・蜀の成立過程と、各々の国情の推移が記される。
本書は、当時の人々の行動原理を明らかにし、国の興亡の背後にあるものを暴き出す。即ち、儒教を信条とする名士らは、政治への理想と野心を持ち、その人脈で絶えず影響力を及ぼした。そして、彼等名士とどう関わるかが、当時の指導者たちの課題であった。
主義と権力を巡る、様々なせめぎ合いの末に、時代がどう変化していったのか。本書は、じっくり解説していく。目から鱗、という内容が多い。
なお、渡邊氏の本は色々出ているが、本書は取り分け分かりやすい。分量的にもちょうどいい。
川勝義雄「魏晋南北朝」
魏王朝の成立から、隋による統一まで、まとめて「魏晋南北朝時代」と呼ばれる。この間およそ、四百年に及ぶ分裂の時代。(実際は、途中で晋が統一したが、長続きせず。)本書はまず、第一章、第二章で、その全体像が概括される。
第三章から、時代の流れを詳述。まず、後漢の地方社会にスポットが当たる。キーとなるのは、民の生活の場である郷村。そこにはかつて、儒教に基づく共同体が存在したが、豪族の台頭で破綻した。彼等の一部は、宦官たちと結託し、国は大いに乱れたという。
そして、宦官に対抗したのが、清流派と呼ばれる活動家たち。しかし、清流派自身も、概して豪族の出身。彼等の中で、袁紹は豪族としての権勢にこだわり、大勢力を築き上げた。荀彧(じゅんいく)、陳羣(ちんぐん)らは、権勢よりも繋がりを武器とし、新興勢力の曹操を支援した。袁紹は結局、曹操に敗北。
しばらくのち、三国(魏、呉、蜀)が成立。魏では、清流派の流れを汲む人々が、貴族階層を形成したという。
一方、呉(江南)は後進地域。本書は孫呉政権に詳しく触れ、政治体制と情勢を解説する。
晋の時代、異民族が中原に侵入し、貴族たちは南方に移住。結果、中原の文化と、江南の空気が接触する。
中原人たちは高尚に議論し、一方では権益をしっかり握った。そして、江南豪族の葛藤。本書を読むと、時代が変化していく様が、スムーズに頭に入ってくる。