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三国志の時代の官職(地方)

 後漢・三国時代の地方官僚を解説します。
 王朝ごと違いがある場合は、特記します。


1、地方長官


司隷校尉
 後漢・魏の官職。司隷(首都洛陽を含む州)の政事を司り、治安維持に当たる。刺史の代わりでもある。



 州の長官。州は現代日本の「県」に相当。



刺史
 州の監察官。軍権はない。他は牧と実質同じ。



太守
 郡の長官。郡は現代日本の「市」に相当。



 郡の長官。首都圏の郡を治める。「河南尹」と「京兆尹」がある。
 なお、「尹」は“官を指す場合”と“郡を指す場合”がある。
 つまり、「河南尹」という郡を治めるのが、「河南尹」という官。



令、長
 県の長官。県は現代日本の「区」に相当。
 一万戸以上の県では「令」。それ未満では「長」。



相(しょう)
 国(藩国)の長官。職務は郡太守と同じ。
 また、相とは別に王(もしくは公)がいる。王、公は爵位である。












2、地方文官


郎中令
 国(藩国)に置かれ、宮中の諸官を司る。中央政府の光禄勲と同じ。(なお、光禄勲は、以前は郎中令という名称。)



従事
 州の長官(牧・刺史)の補佐官。種々あり、「~従事」と呼ばれる。



別駕(べつが)従事
 従事の筆頭。腹心として補佐する。
 なお、「別駕」とは「別の車」の意。別駕従事は、牧・刺史が視察に赴く際、別の車で付き従った。



治中従事
 文書の管理、事務の統括を行う。



 次官。多くの役所、部局に置く。(中央政府でも同様。)
 代表的なものは、国丞、郡丞、県丞。



長史
 次官。国・郡において、丞の代わりに置くことがあった。
 中央政府でも、同じく、役所の次官として設置。



主簿
 公文書の作成を司る。秘書的な役割で、地方長官の役所に置かれた。
 中央政府でも、同様に設置。



記室
 上奏文や檄文の起草、諸事の記録を担当。国に設置。
 中央政府でも、同様に設置。



掾(えん)
 役所の属官。一つの部局をまとめる。
 中央政府でも、同様に設置。



功曹
 州、郡、県に置かれる。官吏の功を評価する他、広く人事に関わる。
 なお、「曹」とは部局の意。



督郵
 郡に所属。諸県を見回り、統治状況を監査する。











3、地方武官


都督
 州の軍政を司り、諸軍を統率する。国境を守備。非常設。
 正確には「都督~州諸軍事」という名称。(一方、中央政府には、大都督などがある。)
 この都督は、(中央・地方いずれも、)三国時代以降の官職。後漢時代の都督は、軍が独自に設けたもの。



監軍
 州に都督の代わりに置くことがあった。
 なお、同名の官職は、中央政府にも存在。



校尉
 主に辺境に置かれ、軍を取りまとめる。
 なお、同名の官職は、中央政府にも存在。



都尉
 主に郡や国に置かれ、軍をまとめる。しばしば、統治にも関わった。
 なお、同名の官職は、中央政府にも存在。



県尉
 県の警備と治安を司る。言わば地方の警察長官。





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