トップページ三国志総合事典(正史)

三国志の時代の官職(中央1)

 後漢・三国時代の中央官僚を解説します。
 王朝ごと違いがある場合は、特記します。
 

1、三公系
 基本の行政組織として、「三公九卿」が存在する。皇帝はその頂点に位置付けられ、その下に三公があり、更に九卿と続く。また、三公の上にも、いくつか官職があった。
 以上とは別に、尚書台、侍中など、別系統の官職群あり。これらは、皇帝にとって、内部的な組織。一般に「内朝」と呼ばれ、機密文書を取り扱ったり、皇帝に側仕えしたりした。
 三公九卿系は、この内朝と対比され、「外朝」と呼ばれる。



丞相(じょうしょう)
 帝を補佐し、政事を司る。朝廷の最高官位で、首相を意味する。



相国(しょうこく)
 実質は丞相と同じ。功臣が就任した。



太傅(たいふ)
 帝を側で補佐。三公より上だが、しばしば名誉職。



大司馬
 帝を補佐し、軍事を司る。大将軍より上に位置。



大将軍
 反逆者を討伐する。太尉より強い軍権。



司徒
 財政、教育を初め、広く国政に関わる。三公の一つ。



司空
 土地、人民、官吏を司る。三公の一つ。
 曹操は三公を廃止したとき、司空の代わりに「御史大夫」を設置。



太尉
 三公の一つで、国防を司る。









2、九卿


光禄勲
 宮中の諸官(近衛兵、人事官、側仕えなど)を司る。九卿の一つ。



太僕
 帝の車馬を司り、行幸(みゆき)に随行する。九卿の一つ。



太常
 朝廷の儀礼、皇室の祭祀を司る。九卿の一つ。



廷尉
 法務を統括し、官民を裁く。九卿の一つ。



衛尉
 禁軍の中の「南軍」を率い、宮門の警備に当たる。九卿の一つ。
 禁軍とは、禁中(皇居)を守る近衛軍。種別は北軍、南軍、郎の三つ。
 南軍は宮殿、北軍は宮殿外を担当。郎は皇帝の護衛官達。



大鴻臚(だいこうろ)
 諸侯、異民族への対応を司る。九卿の一つ。



大司農
 農事を統括。財政に広く関わる。九卿の一つ。



少府
 宮中の財産を管理する。九卿の一つ。



宗正
 皇室の諸事を管理する。九卿の一つ。



執金吾
 禁軍(北軍)を率い、首都の警備に当たる。
 前漢の途中まで、「中尉」という名称。(武帝が執金吾と改称。)また、秦・前漢では、九卿の一つ。(九卿は必ずしも、9つに限定されず。)



将作大匠
 宗廟、宮殿の造営を司る。前漢の途中まで、「将作少府」という名称。(景帝が将作大匠と改称。)
 時期によっては、九卿の一つ。









3、九卿の下


光禄大夫
 光禄勲府に所属。帝の諮問に答えるなどする。しばしば名誉職。



諌議大夫(かんぎたいふ)
 光禄勲府に所属。帝を諌め、助言する。



謁者僕射(えっしゃぼくや)
 光禄勲府に所属。高官の任命、諸官の統括に当たる。
 「射」は“部門をまとめる”、「僕」は“従事する”という意味合い。



儀同三司
 「儀礼の上で三司(三公)と同じ」の意。主に、将軍職と同時に任じられる。後漢と魏が置いた。



中郎将
 光禄勲府に属し、中郎(護衛官)を率いる。禁軍の指揮官の一つで、宿衛などする。
 種別は、「虎賁(こほん)中郎将」「羽林中郎将」「左(右)中郎将」など。(虎賁は皇帝に近従、羽林は騎馬が特徴。)



騎都尉
 光禄勲府に所属。禁軍の指揮官の一つ。羽林の一部を率い、宿衛などする。



 宮中に仕え、皇帝の護衛、補佐などをする諸官。若手が就任する。光禄勲府に「~郎」という官職が存在。(他にも「尚書郎」がある。こちらは内朝の官。)



議郎
 光禄勲府に所属。郎の中で上位に位置し、帝の諮問に答えるなどする。



官職(中央2)


トップページ三国志総合事典(正史)