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三国志の時代の官職(中央2)

 中央官僚の続きです。内朝系、武官系、補佐役をまとめます。


4、内朝系
 内朝とは、皇帝の内部的組織。助言したり、朝廷の文書・人事を司る。次第に、国政全般に関与。



侍中(じちゅう)
 帝の側に仕え、諮問に答える。政治顧問。



中常侍
 侍中府に所属。皇帝の側に仕え、詔勅を管理する。
 主に宦官が就任し、強い権限を持ち得た。



散騎常侍
 侍中府に所属。詔勅を管理し、伝令する。魏が宦官排斥のために設置。



録尚書事
 尚書台(役所名)を監督。非常設。
 外朝の三公、大将軍などが、この役職を兼任し、内朝を統御した。



尚書令
 尚書台の長官。公文書の発布を行い、朝廷の人事にも関わる。強い権限を持ち得た。



尚書僕射(しょうしょぼくや)
 尚書台の次官。諸部局をまとめ、長官を補佐する。



尚書
 尚書台の実務官。諸々の政務を処理する。



尚書郎
 尚書を補佐し、諸事に当たる。若手のための官。



御史大夫
 前漢当初は御史台(監察を司る)の長官。やがて御史台から独立し、「大司空」と改称される。後漢初期、「司空」に改称。
 後漢後期、曹操は司空(及び司徒・太尉)を廃止し、御史大夫を復活させた。



御史中丞
 御史台の長官。上奏文の監査などをし、違法者を弾劾する。



侍御史
 御史台の実務官。「殿中侍御史」(儀式を監査する)、「治中侍御史」(法令担当)などがある。



中書監、中書令
 魏の官職。朝廷の機密に関わり、詔勅を司る。









5、武官系
 三公九卿に属するものは除く。


都督
 軍政を司り、諸軍を統率する。非常設。
 曹丕が設置し、後に呉・蜀も置いた。大都督、都督中外諸軍事など、種々存在。また、地方(州)にも置かれた。
 後漢時代は、軍が独自に設置。地位、役割も多様。



都護
 国の軍事を統括する。魏には都護将軍、呉には左・右都護、蜀には中都護、行都護があった。



監軍
 諸軍を監督し、軍政に広く関わる。非常設。
 なお、州において、都督の代わりに置くこともあった。



将軍
 当時「軍」という単位があり、一軍は3200人。将軍は一軍を統率する。
 上位の将軍は、「驃騎将軍」「車騎将軍」「衛将軍」など。



裨(ひ)将軍
 将軍直属の副官。「裨」とは補佐の意。



偏将軍
 将軍に次ぐ指揮官。「偏」とは不完全の意。



領軍
 禁軍の中の「北軍」の司令官。(正式名「領軍将軍」。)宮殿外に駐屯し、宿衛を行う。城外にも出る。
 三国の官職で、執金吾に代わって実権を得た。
 なお、経験が浅い者は「中領軍」(魏・蜀のみ)に就任。



護軍
 北軍の人事を司り、諸将をまとめる。(正式名「護軍将軍」。)領軍の下に置かれ、城外に行軍する。
 また、経験が浅い者は、代わりに「中護軍」に就任。
 後漢では、「護軍将軍」は置かれず、「中護軍」のみ置かれた。



中塁将軍、武衛将軍
 魏の武官職。それぞれ中塁、武衛という軍を率いる。いずれも北軍に所属し、領軍に従う。



五校尉
 北軍の五部隊の長。屯騎、歩兵、越騎、長水、射声の5種。
 三国時代以降は、領軍に従う。魏では中塁、武衛と合わせて「三営」と呼ばれた。



城門校尉
 北軍の一部を率い、首都の城門(首都を囲む城壁の門)を警備する。



西園八校尉
 霊帝直属の八つの校尉。霊帝自身が創設。
 また、霊帝は自らを「無上将軍」と称し、八校尉を統べた。(無上とは「上に誰もいない」の意。)



校尉
 将軍に属する。「校」という単位の部隊を統率。(定員八百人。)
 なお、同名の官職は地方(主に辺境)にも存在。



都尉
 将軍に属する。立場は校尉のすぐ下。
 なお、同名の官職は地方(郡など)にも存在。









6、補佐役
 様々な役所に共通して置かれる。


長史
 次官。重要な役所(丞相府、三公の府、将軍府など)に置かれ、諸部局を統括する。
 地方では、郡や国(藩国)において、丞の代わりに置かれることがあった。



主簿
 文書、帳簿を司る。様々な府に置かれた。
 地方においても同様。



記室
 上奏文・檄文の起草、諸事の記録を担当。三公の府、大将軍府に置かれた。(地方にも設置。)
 後漢、魏、蜀の官職。呉は置かず。


 次官。多くの役所、部局に置く。地方でも同様(国丞、郡丞など)。



掾(えん)
 役所の属官で、一つの部局をまとめる。「東曹掾」「西曹掾」「軍議掾」「倉曹掾」など。(曹は部局の意。)地方にも同様に設置。
 なお、東曹・西曹は、丞相府などに置かれた。(曹操が設置。)東曹は中央・地方の高官の人事、西曹は府内の人事を担当。



軍師
 軍事全般に参与。丞相府、三公の府、将軍府などに置かれる。



軍師祭酒
 丞相府、司空府に存在。曹操が設置。「祭酒」とは長の意。
 他に、「軍祭酒」「軍謀祭酒」が史書に出てくるが、いずれも軍師祭酒と同一とされる。(諸説あり。)



司馬
 軍のまとめ役。丞相府、三公の府、将軍府などに置かれる。
 「司馬」とは“馬を司る”の意。馬は軍と同義。



参軍
 軍の参謀。丞相府、三公の府、将軍府などに置かれる。



官職(中央1)


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