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本の紹介(小説2)

 三国志の小説を紹介。

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三好徹「興亡三国志」
 「三国志演義」に準拠。吉川英治、柴田錬三郎と同種の作品。
 そして、現代作品として、新たなテイストがある。

 まず、独自のセリフを随所に挿入。その頻度は、吉川・柴田よりだいぶ多い。事あるごとに、登場人物が会話を始める。本作の一番の特徴である。
 また、本作では、演義で排された史実を拾い上げ、作品内に織り交ぜる。(例えば、袁紹が劉虞を皇帝に推し、袁術が反対した話など。)それをもって、新しい三国志演義を創出している。


 なお、曹操の視点が何かと多い。心情描写もしばしば行われる。一方では、従来の三国志作品同様、劉備陣営にも多くのスポットが当たる。
 本作は基本的に、内容が濃い。加えて、文体に勢いがあり、かなり読みやすい。




安能務「三国演義」
 「三国志演義」に変更、脚色を加えた作品。

 題名を初めて見たとき、演義の新たな訳本かと思ったが、実際はユニークな内容。随所に会話や、独自の解釈を入れている。三好徹の「興亡三国志」に似た作品。(独自性はより強い。)


 本作では、本場の演義の偏ったシーンを、しばしば史実に沿って修正する。それをもって、新しい作品に仕立てている。

 例えば、孔明は、(本来の演義に比べ)神がかり的ではない。本作において、軍師の本分は、組織の整備、情報の収集・分析。孔明もそれらの分野で活躍。
 また、本来の演義では、呂布は随一の武芸を誇る。史実では、必ずしもそうとは限らない。(それより、騎兵の指揮に長けていた。)当作品でも、呂布個人の強さはそう強調されない。有名な「虎牢関の戦い」も、本来の演義とは少し内容が違う。
 既に演義を読んでいれば、本作と演義の異同に対し、自ずと興味が湧くだろう。


 また、張飛は、兵法書を好むという設定になっている。(張飛は史実、演義いずれでも、書を好むタイプには見えない。)また、顔良は文醜より強いとされる。(これも、史実・演義には記されない。)本作は基本的に、独自の人物解釈が多い。




周大荒「反三国志演義」
 著者は中国人。訳本として、渡辺精一「反三国志」、今戸栄一「超三國志」がある。
 前者は原典に忠実な訳。(文庫版は上巻・下巻。単行本は全一冊。)後者は基本的に意訳で、補足文も随所に入れている。(文庫版と単行本、いずれも上巻・中巻・下巻。)


 本作は、「三国志演義」のif物語。劉備の荊州時代(劉表の傘下)からストーリーが始まる。
 まず、孔明が配下に加入。(これは、史実・演義と同様。)続いて、龐統も配下に加わる。(史実・演義ではもっとあと。)
 更に、趙雲が孔明の指令を受け、徐庶の母を曹操から奪還する。結果、徐庶は劉備の元を去らない。(これは、オリジナルの話。)かくて、孔明、龐統、徐庶という三人の名軍師が、揃って劉備陣営に居続ける。

 その後、劉備は劉表の後継者となり、荊州で地盤を固める。赤壁の戦いは起こらない。最終的に、蜀が魏・呉を滅ぼし、三国を統一する。魏延、馬謖なども、存分に力量を発揮。
 また、蜀の人物のみ、扱いがいいという訳ではない。張遼、曹洪、曹彰、周泰などの活躍も目立つ。


 本作は、演義系小説の中でも、娯楽性に重点が置かれている。テンポもいい。内容はそう深くないが、普通に面白い作品。




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