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成立と変遷

 「三国志演義」の成立過程と、刊本による違いをまとめます。

成立と変遷  嘉靖本  毛本  史実と演義


 元王朝の時代、「三国志平話」という小説が刊行された。作者は不明。
 内容は、後漢時代の後期・三国時代の説話を集め、独自の創作を追加したもの。説話とは、民間伝承や講談。
 「三国志平話」は、基本的に虚構性が高い。

 明代になって、「三国志演義」が成立する。作者は羅貫中。
 これは、「三国志平話」を元とするが、陳寿「三国志」など史書を重視。虚構性が大幅に抑えられ、ストーリーはほぼ史実に沿っている。(勿論細部には、虚構が多々織り込まれている。)


 「三国志演義」は、繰り返し改訂され、様々な刊本が存在する。(原本は現存しない。)
 有名な刊本は、明代の嘉靖帝の時代に成立した「嘉靖本」、そして清代の毛宗崗(もうそうこう)による「毛本」の二つ。嘉靖本は、現存する刊本の中で最古。一方、現在普及しているのは、毛本の方。
 なお、嘉靖本はかつて、弘治帝の時代の成立とされ、弘治本と呼ばれていた。(嘉靖帝は、弘治帝の次の次の代。)

 毛本は、嘉靖本に比べ、やや簡略化されている。また、反曹操の色合いが強い。元々、演義は「劉備=善、曹操=敵」というイメージで描かれているが、毛本はそれをより強調している。

 なお、嘉靖本の題名は、正確には「三国志通俗演義」。毛本の方は「三国演義」。刊本によって、題名は微妙に違い、総称して「三国志演義」と呼ばれる。(中国では主に「三国演義」と総称。)


 嘉靖本と毛本の間にも、複数の刊本があり、有名なのは「李卓吾本」。(正式名称は、「李卓吾先生批評三国志」。)李卓吾はまず、二話を繋げて一話とした。(嘉靖本は全240話、李卓吾本以後は全120話。)内容には若干の修正を加え、更に批評を与えて刊行。
 なお、wikiの「三国志演義の成立史」に、主な刊本の一覧が載っている。




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